AGA、すなわち男性型脱毛症は、成人男性に見られる進行性の薄毛の症状であり、多くの方が悩みを抱えています。髪の毛が徐々に細く短くなり、生え際や頭頂部から後退していくのが典型的な特徴です。このAGAの「治し方」を考える上で、まずその原因とメカニズムを正しく理解することが不可欠です。AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン、通称DHTと、遺伝的な感受性にあります。体内の男性ホルモンであるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素の働きによってDHTに変換されます。このDHTが、毛根にある毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合すると、毛髪の成長期が著しく短縮されてしまいます。通常、髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」から成るヘアサイクルが存在し、成長期は2年から6年程度続きます。しかし、AGAを発症すると、この成長期が数ヶ月から1年程度にまで短縮され、髪の毛が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまうのです。このサイクルが繰り返されることで、徐々に細く短い髪の毛、いわゆる軟毛が増え、全体のボリュームが失われ、地肌が透けて見えるようになっていきます。AGAの進行パターンには個人差がありますが、額の生え際が後退するM字型、頭頂部から薄くなるO字型、あるいはその両方が混合するU字型などが一般的です。重要なのは、AGAは「進行性」であるという点です。つまり、適切な対策を講じなければ、薄毛は徐々に進行していく可能性が高いのです。しかし、悲観する必要はありません。AGAは、医学的な根拠に基づいた効果的な治療法が確立されており、早期に適切な治療を開始することで、その進行を遅らせたり、発毛を促したりすることが期待できます。AGAの「治し方」を模索する第一歩は、AGAがどのような脱毛症なのかを正しく理解し、自己判断せずに専門の医師に相談することです。