「最近、抜け毛が増えた気がする」「髪が細くなったかも」。AGAの初期症状は、非常に緩やかに現れるため、それが本当にAGAの始まりなのか、それとも一時的な体調不良なのか、自分では判断がつきにくいものです。しかし、いくつかのセルフチェックを行うことで、その可能性の高さをある程度推測し、病院へ行くべき適切なタイミングを見極めることができます。まず、鏡の前で、自分の「生え際」と「頭頂部」の状態を、定期的にチェックする習慣をつけましょう。特に、髪が濡れている時は地肌が透けやすいため、変化に気づきやすいです。M字部分が以前より後退していないか、つむじ周りの地肌の見える範囲が広がっていないかを、過去の自分の記憶や写真と比較してみてください。次に、日々の「抜け毛の質」を観察します。シャンプーの後や、朝起きた時の枕元に残った抜け毛を数本手に取り、その太さや長さを確認します。太く長い毛に混じって、明らかに細く、短い、頼りない毛の割合が増えているなら、それはAGAが進行しているサインである「軟毛化」が起きている証拠です。さらに、「家族の髪の状態」を思い返してみることも、重要なチェックポイントです。父、父方の祖父、そして特に「母方の祖父」に薄毛の人がいる場合、あなたはAGAを発症しやすい遺伝的な素因を受け継いでいる可能性が非常に高くなります。これらのセルフチェックで、一つでも強い懸念材料が見つかったら、それが病院へ行くべきタイミングです。AGAは進行性の脱毛症であり、放置すれば症状は悪化の一途を辿ります。そして、治療の開始が早ければ早いほど、効果は高く、改善の可能性も大きくなります。「まだ大丈夫だろう」「もう少し様子を見よう」という先延ばしが、将来の自分を後悔させることになりかねません。不安を感じたその時こそが、専門家の助けを借りる最高のタイミングなのです。