男性型脱毛症(AGA)は、成人男性に多く見られる進行性の脱毛症です。その判断にはいくつかの特徴的なポイントがあり、これらを理解しておくことが早期発見と適切な対応に繋がります。まず注目すべきは、脱毛のパターンです。AGAは主に、前頭部(生え際)がM字型に後退していくタイプ、頭頂部(つむじ周辺)がO字型に薄くなるタイプ、そしてこれらが混合して進行するタイプがあります。ご自身の頭髪を鏡で確認し、これらのパターンに当てはまるかどうかを見てみましょう。次に、抜け毛の質と量です。AGAが進行すると、太く健康な髪の毛が細く短い産毛のような毛(軟毛)に置き換わっていきます。シャンプー時やブラッシング時、枕などに細く短い毛が多く見られるようになったら注意が必要です。また、以前と比較して全体の抜け毛の量が増えたと感じる場合も、AGAのサインである可能性があります。さらに、家族歴も参考になります。AGAは遺伝的要因が関与していることが知られており、父方または母方の親族に薄毛の方がいる場合、発症リスクが高まると言われています。ただし、遺伝的素因がなくても発症することもあり、逆に素因があっても必ずしも発症するわけではありません。これらのセルフチェックはあくまで目安であり、AGAの正確な判断は専門医による診断が必要です。もしAGAの疑いを感じたら、皮膚科やAGA専門クリニックを受診しましょう。専門医は、詳細な問診(生活習慣、既往歴、家族歴など)に加え、視診や触診、マイクロスコープを用いた頭皮や毛髪の状態観察などを行います。場合によっては、血液検査などを行い、他の脱毛症との鑑別をすることもあります。自己判断で市販の育毛剤などを使用し続けても、原因がAGAであった場合、効果が得られにくいことがあります。それどころか、適切な治療開始が遅れることで、症状が進行してしまう可能性も否定できません。AGAは早期に治療を開始することで、進行を遅らせたり、毛髪の状態を改善したりすることが期待できます。少しでも気になる症状があれば、まずは専門医に相談し、正確な判断を仰ぐことが、薄毛の悩み解決への第一歩となるでしょう。