薄毛の悩みというと、どうしても頭皮のケアにばかり意識が向きがちですが、東洋医学では、体はすべて繋がった一つのものと考えます。そのため、手や足にあるツボを刺激することも、巡り巡って頭皮環境を改善し、薄毛対策に繋がるのです。ここでは、いつでもどこでも押しやすい、全身の代表的なツボをご紹介します。まず、最も有名で万能なツボが、手の甲にある「合谷(ごうこく)」です。親指と人差し指の骨が交わる付け根の、少し人差し指寄りのくぼみにあります。合谷は、全身の気血の巡りを促進し、特に首から上の症状に効果が高いとされています。肩こりや頭痛、ストレス緩和にも役立つため、仕事の合間に反対側の親指でぐっと押す習慣をつけると良いでしょう。次に、足にある重要なツボが「足三里(あしさんり)」です。膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみから指4本分下がったところにあります。ここは胃腸の働きを整えるツボとして知られ、刺激することで食べ物の栄養を効率よく吸収し、髪の材料となる「血」を生成する力を高めます。そして、特に女性の薄毛に深く関係するのが「三陰交(さんいんこう)」です。足の内くるぶしの最も高いところから、指4本分上、すねの骨の際にあります。ここは、婦人科系の万能ツボと呼ばれ、血の巡りを改善し、冷えを取り、ホルモンバランスを整える働きがあります。最後に、腰にある「腎兪(じんゆ)」です。ウエストの一番くびれたラインの高さで、背骨から指2本分外側にあります。東洋医学で「腎」は生命エネルギーの源であり、老化と深く関係します。腎の働きが衰えると、白髪や薄毛といった老化現象が現れやすくなります。両手を腰に当て、親指でじんわりと押してあげましょう。これらの全身のツボケアを日常に取り入れることで、体の中から髪を育む力を養うことができます。