今回は、東洋医学の専門家である鍼灸師の佐藤先生に、多くの人が疑問に思う「ツボ押しと薄毛」の関係について、プロの視点からお話を伺いました。インタビュアー「先生、単刀直入にお聞きします。ツボ押しで、本当に髪は生えるのでしょうか?」佐藤先生「それは、最もよく聞かれる質問ですね。答えは『イエスでもあり、ノーでもある』です。まず、ツボを押したからといって、毛がなかった場所に直接毛根ができて、髪が生えてくるわけではありません。その意味では『ノー』です。しかし、薄毛の原因となっている体内の不調、例えば血行不良やホルモンバランスの乱れ、自律神経の失調などを、ツボを刺激することで改善し、結果として髪が育ちやすい環境を整えることは十分に可能です。その意味では『イエス』と言えます。私たちはこれを『育毛』ではなく『育頭皮』と呼んでいます。良い畑でなければ良い作物が育たないのと同じ原理ですね」。インタビュアー「セルフケアでツボ押しをする際の、最も重要なポイントは何でしょうか?」佐藤先生「『力加減』と『継続』です。多くの方が、強く押せば効くと思いがちですが、それは間違いです。強く押しすぎると、筋肉の繊維を傷つけたり、防御反応で体が余計に緊張してしまったりします。あくまで『痛気持ちいい』と感じる範囲で、ゆっくり圧をかけ、ゆっくり離すのが基本です。そして何より大切なのが、毎日少しでもいいので続けること。ツボ押しは魔法ではありません。体の内側から体質をじっくりと変えていくアプローチですから、最低でも三ヶ月は続けて、ご自身の体の小さな変化を感じてみてほしいですね。肩こりが楽になった、よく眠れるようになった、など、髪以外の部分にまず効果が現れることが多いですよ」。