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遺伝のせいにして諦める前に知るべきこと
「父親も祖父もハゲているから、自分も治らないに決まっている」。そうやって遺伝を理由に、治療を始める前から、あるいは効果が出ないことを正当化して諦めてしまっていませんか。確かに、AGAの発症には遺伝的要因が強く関わっています。男性ホルモンを受容するレセプターの感度や、5アルファリダクターゼの活性度は、親から子へと受け継がれる体質です。しかし、現代医学において、遺伝はもはや絶対的な運命ではありません。遺伝的リスクが高い人であっても、適切な介入を行うことで、その発現を遅らせたり、症状をコントロールしたりすることは十分に可能なのです。遺伝だから治らないというのは、古い時代の考え方です。現在では、遺伝子検査によって自分がどのようなリスクを持っているかを事前に知ることができます。例えば、フィナステリドが効きやすい体質なのか、効きにくい体質なのかを調べることも可能です。もし効きにくい遺伝子を持っていると分かれば、最初からより強力なデュタステリドを選択したり、外用薬や注入治療を組み合わせたりと、無駄のない最適な治療プランを立てることができます。遺伝は「変えられない運命」ではなく、「対策を立てるための情報」として活用すべきなのです。また、遺伝の力が発揮されるのを待たずに、早期に先手を打つことが重要です。遺伝的素因がある人は、そうでない人に比べてAGAの発症時期が早くなる傾向があります。二十代前半、あるいは十代後半から予兆が現れることもあります。この段階で「まだ若いから」と放置せず、予防的な治療を開始すれば、毛根がダメージを受ける前に守り抜くことができます。毛根が生きてさえいれば、遺伝の力に抗うことは可能です。逆に、完全にハゲ上がってからでは、いくら最新医療でも回復は困難になります。さらに言えば、薄毛の原因は遺伝だけではありません。生活習慣やストレス、頭皮環境などの環境要因も大きく関わっています。遺伝的リスクが100あったとしても、環境要因を改善することで、発症のリスクを70や50に抑えることができるかもしれません。遺伝のせいにして何もしないことは、自らハゲへの特急列車に乗るようなものです。「うちはハゲ家系だから」という言葉は、諦めの免罪符にはなりません。遺伝という最強の敵を知っているからこそ、誰よりも早く、賢く対策をとることができるのです。